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あなたは、「FlightHub 2 On-Premise」って何がすごいの?と疑問を持って検索してきたのではないでしょうか。
あるいは、DFR(Drone as First Responder)って日本でも使えるの?と気になっている方かもしれません。
そんなあなたに、「都市防災の概念を変えた、最新のドローン運用の実例」をご紹介します。
FlightHub 2 On-Premiseの導入によって、アメリカ・テキサス州エルパソ市では、ドローンが緊急対応の最前線に立つ時代が到来しています。
しかも、その運用はたった数分で現場に情報提供が可能な「無人・遠隔・即時対応」レベルにまで進化しています。
この仕組みの中核を担うのが、中DJI(DJI中国本社)が提供する「FlightHub 2 On-Premise」。
都市の警察、消防、空港などが連携し、公共の安全を守るためにドローンを戦略的に活用する仕組みが整ってきています。
本記事では、エルパソ市が実際に取り入れた3つの成果にフォーカスしながら、FlightHub 2 On-Premiseがどのように都市防災を変革しているのかを解説していきます。
また、「なぜクラウドではなく“オンプレミス”が選ばれたのか」という点にも触れながら、日本国内での実装の可能性や注意点についても掘り下げていきます。
すでにドローン業界では、DJI Dockと連携した運用モデルが、自治体や企業の間で注目されています。
この「FlightHub 2 On-Premise」は単なるデータ管理ソリューションではなく、災害・事故・治安対策の即応性を格段に高めるキー技術なのです。
「防災×ドローン×データセキュリティ」という新たな視点から、未来の都市管理を考えるきっかけになれば幸いです。
概要:FlightHub 2 On‑Premiseとは?ドローン都市防災の最前線

【注意:当ブログ内の画像は「イメージ画像」となっていますので、ご了承ください。】
FlightHub 2 On‑Premiseは、データ管理・飛行オペレーション・セキュリティを自治体や公共安全部門が自社サーバーまたは信頼できるクラウド環境で完全に掌握できるソリューションです。
このシステムがあれば、「クラウド依存の不安」や「第三者アクセスのリスク」を払拭しながら、都市防災・緊急対応(DFR:Drone as First Responder)で要求される迅速性と信頼性を両立できます。
以下では、FlightHub 2 On‑Premiseの機能と仕組み、なぜオンプレミス版が選ばれるのか、その背景、そして中DJI(DJI本社)のデータセキュリティ強化の取り組み、さらにはDFRの概念とエルパソ市での導入理由を詳しく解説します。
「FlightHub 2 On‑Premise」とは何か?基本機能と仕組み
FlightHub 2 On‑Premiseは、DJIが提供するFlightHub 2の派生版で、**クラウド版とほぼ同等のUI/機能を持ちつつ、自社または指定されたプライベート/ローカルサーバー上で運用できる環境**を持つプラットフォームです。
具体的には、飛行ルートの計画、フリート(ドローン機体)の管理、ドックステーション(DJI Dock シリーズ)との連携、リアルタイムでの映像・データ取得・共有、さらにログやメディアの保存・取り扱いを自社管理できる機能が含まれます。
オンプレミス版はまた、API統合やシステム連携性も考慮されており、既存のCAD/GIS/公共安全システムとの融合が可能です。
なぜ“クラウド”ではなく“オンプレミス”なのか?その理由と背景
公共安全や都市防災の現場では、データの保全・アクセス制御・運用の即時性が極めて重要です。クラウド版では、外部のサーバーやネットワーク経路がどうしても関わるため、**国・機関レベルの機密性・法令遵守**に関する疑念が避けられません。
FlightHub 2 On‑Premiseは、データを完全に内製または信頼できるプライベートクラウド/ローカルサーバー上に置けるため、**通信経路・保存場所・アクセス権限**を自治体自身が制御でき、外部への漏洩リスクを最小化できます。
また、クラウドとの比較で、アップデートのタイミング・外部依存の通信遅延・セキュリティ監査の要件といった点でオンプレミスには優位があります。緊急対応時に“ちょっと待たされる”ことが許されない現場では、この差が致命的になることがあります。
中DJIによるデータセキュリティへの新たな取り組みとは
DJIは、FlightHub 2 On‑Premiseをリリースするにあたり、セキュリティとプライバシーに関する新しい体制を強化しました。ISO規格認証取得やホワイトペーパーの更新、既存の“Local Data Mode”などの機能拡張がその代表です。
特に、**すべての飛行ログ・座標・映像データ**を自社ネットワーク内に保存することが可能で、外部クラウドへの自動同期をオフにできる運用モードが設けられています。これは、法令や自治体ポリシーで外部クラウドの使用に制限がある地域や、住民データ保護に敏感な地域で特に重要な要素です。
ドローンDFR(Drone as First Responder)とは?活用事例と注目理由
DFRは「ドローンを第一対応者(First Responder)の一部として活用する」概念で、災害・事故・火災・治安対応などで初動からドローンを送り込むモデルです。従来、現場到着まで人と機材を移動させる時間がかかっていましたが、ドローンをあらかじめ配置・準備しておくことで“目視・映像・情報取得”が初期段階から可能になります。
エルパソ市では、22基のDJI Dockを市中に配置し、緊急時には自動・遠隔でドローンを発進させ、対応チームにリアルタイム映像を送る体制が確立されています。住民・警察・消防が共通の目を持つことで被害の拡大を抑える効果が期待できるようになりました。
米エルパソ市の挑戦:なぜこの都市で導入されたのか
エルパソ市は地理的・治安的課題を多く抱えており、**国境接近地域・軍事空域隣接・広大な市域**という条件下で公共安全を保つための即応性が極めて求められる都市です。こうした条件が、FlightHub 2 On‑Premise の導入を後押ししました。
また、既存のDroneプログラムを警察が6年前に開始していたこと、他機関からの要請が増えていたことが背景にあり、機能拡張・ドック配置・データ管理の強化余地が明らかだったことも導入の決め手です。
このような都市では、「時間」と「情報」の格差が住民の安全に直結します。FlightHub 2 On‑Premiseがそれらを縮めるインフラとして機能しているのです。
3つの成果とは?エルパソ市の都市防災が変わった決定的理由

【注意:当ブログ内の画像は「イメージ画像」となっていますので、ご了承ください。】
エルパソ市でのFlightHub 2 On‑Premise+DJI Dock の導入により、①初動対応時間の大幅な短縮、②部門横断での連携強化、そして ③住民満足度とコスト削減の両立という三大成果が明確に現れています。
成果①:初動対応時間の劇的短縮(平均45分→数分へ)
まず、エルパソ市で“以前は緊急対応が始まるまで**45分から60分**かかっていた”場面がありました。これは、夜間の呼び出しや機材の搬送、場所に移動してからセットアップするまでの時間が重なっていたためです。
DJI Dockと遠隔操作の融合で即応体制を実現
エルパソ市では市内に **22基のDJI Dock** を設置し、ドローンをあらかじめ配備することで物理的な準備時間がほぼ不要になりました。
呼び出しがあれば、**ノートパソコンから遠隔で発進命令を出せる**体制が整い、セットアップ‐移動‐発進というプロセスが短縮されています。
実際の緊急対応ケーススタディ(エルパソ市の運用データから)
例えば、夜間の交通事故発生時、以前は到着までに地上の隊員が現場へ行き準備を整える必要がありました。その間に情報は限られており、対応の質も変動が大きかったのです。
いまでは、ドックから発進したドローンが**現場まで飛び、現場に向かう隊員にリアルタイム映像を提供**することで、事故の規模や被害状況を先に把握できます。これにより、隊員が現場へ到着するまでの意思決定が的確になり、初動の遅れによる被害拡大を抑える効果が出ています。
成果②:部門横断の連携強化(警察・消防・空港の協働)
二つ目の成果は、**組織間の壁を越えた協力**が急速に前進したことです。警察・消防・空港運営部門などが個別にドローンプログラムを持っていたところ、FlightHub 2 On‑Premise を通じて共通基盤を使うようになり、情報共有・資源共有が進みました。
FlightHub 2によるリアルタイム情報共有の仕組み
FlightHub 2 のオンプレミス環境では、各部門が同じプラットフォームで飛行ミッションを計画し、ログ・映像・位置情報を共有できます。たとえば、火災現場へ消防が向かうとき、警察のドローンが現場外から状況をライブで送信し、空港部門も空域状況を把握して対応できるようになりました。
コマンドセンターの統一運用がもたらす効率化とは
エルパソ市では、これまで別々だった訓練・機材・ドックの配置などを統一的に扱うようになり、重複投資が削減されています。
また、同時に実施されるイベントや大型集会などでも、どの部門がどのドローンを使うか前もって調整できることで、現場での混乱が少なくなっています。
成果③:住民満足度とコスト削減の両立
三つ目の成果は、**住民からの信頼度アップと運営コストの両方で成果が見え始めている**ことです。緊急時のレスポンスが改善されたことで、住民が感じる安全感が増しており、また、無駄な出動や人的資源の浪費が減っています。
“本当に必要な現場”への迅速な対応が市民評価を向上
以前は小規模な通報や騒音‐苦情のような比較的軽度な案件でも警察が現地に赴く必要がありました。
いまでは、そうした案件にはまずドローンが飛び、状況をリモートで確認することで、必要ならば警察・消防による出動を判断します。これによって**住民の苦情対応が迅速になり、無駄な現地出動が減る**ため、住民満足度が上昇しています。
人件費・出動コストの削減とその経済効果
物理的な出動が減ることで車両燃料費・運転時間・機材準備時間が節約されています。
また、複数部門で共有する機材やドックの配置が効率化されたことによって、機材購入・維持コストも抑えられています。
まとめ:FlightHub 2は日本でも活用できるのか?

【注意:当ブログ内の画像は「イメージ画像」となっていますので、ご了承ください。】
日本でもFlightHub 2 On‑Premiseを導入するポテンシャルは十分にある
日本の自治体・企業が導入するうえでの課題とは
まず、日本国内でFlightHub 2 On‑Premiseを導入する際の最初の壁は**コストの問題**です。オンプレミスで運用するにはサーバー設備、保守体制、電力・通信環境などの初期投資が必要であり、小規模自治体では予算的なハードルが高くなります。
次に、**運用経験**が限られている点も課題です。ドローン操作だけでなく、遠隔発進システム(DJI Dock 等)を使いこなす技術、夜間・悪天候時の運用ノウハウ、データ管理と情報セキュリティの運用ルール整備が求められます。
さらに、住民の理解や許可を得るための**合意形成**も重要です。飛行音、プライバシー懸念、落下リスク等について周知・対策が必要です。これらを見落とすと、導入後に運用が停滞する恐れがあります。
法規制・飛行ルールとの整合性(国交省の動き)
日本には《航空法》《電波法》《道路交通法》《地方自治体条例》など、ドローン運用に関わる複数の法律・規則があります。これらのルールは、目視外飛行、夜間飛行、高度な自律飛行などを制限しており、オンプレミス型のDrone as First Responder(DFR)運用には調整が必要です。
国土交通省は「無人航空機の飛行ルール」の整備を進めており、例として2025年以降、飛行許可申請・飛行計画提出の簡素化や手続きの見直しが行われています。これにより、FlightHub 2 On‑Premise導入のための行政的障壁が少しずつ低くなってきています。
また、電波使用に関する規制も見逃せません。ドローン通信では使う無線帯域や出力などが法律で定められており、DJI Dock や遠隔制御システムを利用する際にはこれらの規制に適合する設定や機器を選択する必要があります。
JUIDA認定制度とFlightHub 2導入に向けた人材育成の重要性
FlightHub 2 On‑Premise運用では、操縦者だけでなく、安全運航管理やデータ運用を監督できる専門人材が不可欠です。そこで、JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)の民間資格制度が非常に役立ちます。
JUIDAには「無人航空機操作技能証明証」「安全運航管理者証明証」などがあり、これらを取得することで、操縦・管理双方の基礎知識を得られます。([uas-japan.org](https://uas-japan.org/license/qualification/))
また、操縦技能だけでなく、運用ポリシー、危機対応、リスクアセスメント、データセキュリティなどを含む教育プログラムを持つ講座を選ぶことがポイントです。これにより、自治体・企業でFlightHub 2 On‑Premiseを安全かつ効果的に運用できる体制が整います。
今後の展望:災害大国・日本における可能性と展望
日本は地震・台風・豪雨など自然災害が頻発する国であり、**初動対応の迅速化**が被害軽減に直結します。FlightHub 2 On‑Premise のような即応体制を持つシステムは、災害発生時の情報共有・被害状況の把握・住民の避難誘導などで大きな効果を発揮するでしょう。
また、国や地方自治体による補助金・公的助成が今後拡充されれば、導入コストのハードルも下がる可能性があります。自治体との共同実証実験も期待されます。
【補足】FlightHub 2の価格帯と導入ステップ(企業向け)
まず価格ですが、オンプレミス版の導入はクラウド版よりも初期コストが高く、サーバー構築、ソフトウェアライセンス、DJI Dock やその他の機器一式の設置費用がかかります。モデル・規模により数百万円~数千万円規模になる可能性があると予想されます。
導入ステップとしては、①運用目的と必要スペックの明確化、②法規制の確認と許認可取得、③機材・設備(ドック・サーバー等)の選定、④スタッフ育成および運用プロトコルの策定、⑤実証運用と改善、⑥本格運用という流れが現実的です。
特に②と④のステップを疎かにすると、コスト高・運用停止リスクが発生しますので注意が必要です。
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